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「違い」と「差別化」について

経営の文脈において、「戦略とは差別化である」とか「他社から差別化を図り、競争に勝つ」といった表現が頻繁に用いられます。しかし、そもそも「差別化」とは何を指すのでしょうか? 他社との「違い」でしょうか? その「違い」とは一体何なのでしょうか? 差別化ということばを皆が本当に理解して使っているかどうかは怪しい感じもします。実際、自社が他社とどのような「違い」を持っているのか、案外自分たちでは理解できていない場合も少なくありません。そこで今回は、「違い」を整理してみたいと思います。

 

「違い」は主に、「製品・商品自体」「価格」「提供方法」などに分類することができるように思います。

 

製品・商品における違い

  • 物理的な機能、効能、効果
  • デザインやコンセプトのユニークさ
  • 圧倒的な品質
  • 圧倒的な知識・技術・経験(職人や専門サービスの場合)
  • ブランド力、イメージ(歴史、ストーリー)

 

価格における違い

  • 価格そのもの(圧倒的な安さ、プレミア価格など)
  • 価格体系(売り切り、月額支払い、使用量課金など)

 

提供方法における違い

  • 商品ラインアップ(限定された商品 VS 豊富な品揃え)
  • サービス範囲(販売のみ VS フルサービス(メンテナンスや付加サービス))
  • 圧倒的な提供スピード
  • 圧倒的な提供品質
  • 提供方法(カスタムメイド、セルフサービスなど)
  • 顧客接点(対面販売、オンライン専売など)

 

また、上記の違いを生む、裏側の仕組みにも「違い」が存在します。

  • 効率的な業務を実現するITシステム
  • 教育
  • 人事制度、評価制度
  • マニュアル、方法論
  • 仕入れ手法、調達手法

これらはすべてではありませんが、競合他社との「違い」を表す主要な軸です。

 

「差別化」とは、単なる違いではなく、顧客から見て有意な「違い」のことです。ただし、単一の軸だけで競争に勝てるほど単純ではありません。いくつかの軸の複合体が、顧客にとっての自社の位置づけ=「差別化」を形成します。

顧客が違えば反応する軸は異なります。したがって、差別化を考える際には、自社がターゲットとする顧客が求める軸での「違い」を明確にすることが重要です。

 

既存の顧客に対して訴求力向上、新規顧客へのビジネス拡大。皆さんの会社でも、改めて「違い」を見直してみませんか?